ニューディール政策とは
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ニューディール政策とは、アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を乗り切るために行った一経済政策の呼称です。従来の経済政策は、自由主義経済を基本としていたことから消極的で限定的な市場介入にとどまっていましたが、別名「新規まき直し政策」とも言われたニューディール政策は、政府が市場に積極的に介入しました。公共投資を基本とした「有効需要創出」が国家の経済成長に不可欠と提唱する経済学者「ジョン・メイナード・ケインズ」のケインズ理論を採用、第二次世界大戦後の世界経済の発展に大きな影響を与えました。
1933年3月4日に大統領に就任したルーズベルトは、対敵通商法によりアメリカ全土の銀行を休業させ、銀行の経営状況を調査したことにより、銀行の取り付け騒ぎは収束しました。ルーズベルトは、景気回復と失業者の雇用、公共施設建設、公共事業などの経済政策を短期間で審議・制定させ、その後も数多くのインフラ事業や公共施設の建設、公共事業による景気対策を次々に行っています。また、保護主義貿易から自由主義貿易、関税率の設定変更、互恵通商協定などの貿易政策も行われました。
ニューディール政策の実施によってアメリカ経済は回復傾向となり、第二次世界大戦へ参戦したことで、戦争に必要な武器や航空機、戦艦などへの軍事歳出が増加、戦争による特需が発生したことで失業率、実質GDP、名目GDPは第二次世界大戦中の1943年に世界恐慌以前の水準に回復しました。ニューディール政策の実施後から、連邦政府がアメリカ経済、金融市場に対する影響力が大きくなり、戦後からアメリカが世界経済の中心的な役割を担うようになりました。
【主なニューディール政策内容】
○TVA(テネシー川流域開発公社)などの公共事業
○CCC(民間資源保存局)を利用した大規模な雇用創出
○NIRA(全国産業復興法)による労働時間の短縮や賃金確保
○社会保障法による老齢年金、失業保険、公的扶助制度
○AAA(農業調整法)による生産量・流通量等のバランス調整
○持株会社法により持株会社を禁止
○ワグナー法「全国労働関係法」による労働環境の改善、団結権、団体交渉権 ○緊急救済支出法
○第二次農業調整法
ルーズベルトによるニューディール政策は第二次世界大戦による戦争特需によって、結果的には成功したと言われていますが、ドイツのヒトラーがドイツの失業率を大幅に改善したのに対し、ニューディール政策を実施してもアメリカの完全失業率の大幅な改善は見られませんでした。アドルフ・ヒトラーのような絶大な権力をルーズベルト大統領は持っておらず、第二次ニューディール政策の実施、労働者へは全国労働関係法により「団結権・団体交渉権・ストライキ権」の労働三権を認ています。
日本軍による「真珠湾攻撃」(太平洋戦争)を利用して、「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に戦争を開始、これにより失敗に終わるはずであった「ニューディール政策」は成功したと評価されることになりました。東日本大震災の復興にニューディール政策を採用を提言する経済学者が多く、グリーン・環境ニューディール政策の提言など、ニューディール政策は経済政策として高く評価されています。
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