つなぎ売りとは
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つなぎ売りとは、保有している株価が下落している(株価の下落が予想される状況)局面で保有している現物株を売却せずに、信用取引の売り(空売り)を行うことです。つなぎ売りは、機関投資家や投資ファンドなどの大口投資家が保有株の下落による損失を回避する目的で保有株のつなぎ売りを行うことが多く、個人投資家も保有株の株主優待の権利を得るために、権利確定日に空売りをして株価変動による損失のリスクを無くして、権利を確定させる手段として利用されます。また、つなぎ売りは、金利の高い時に現物株と同数の空売りを行っておけば、株価が上下しても損失が出すことがなく、利息を受け取れるメリットがあります。低金利の時は、貸し株手数料などにより効果が期待できませんが、配当利回りの高い企業では非常に有効な手段と言えます。
「つなぎ売り」が単独の信用売りの空売りと違うのは、空売り反して株価が上昇した場合は、空売りを買い返済するのではなく、現渡しによって決済をすることができるのです。インターネット証券の普及により売買手数料が安くなっているので、手数料を気にする投資家が少なくなっていますが、現渡しによる手仕舞いであれば、信用売りの返済手数料はゼロ、現物株の売却にかかる手数料もゼロです。つなぎ売りは返済手数料が無料ですから、プロの投資家は「つなぎ売り」を積極的に活用していますが、個人投資家は「つなぎ売り」のメリットを理解していない方が多くいます。スイングトレードだけでなく、取引回数が多いデイトレーダーにも売買コストを下げる有効なテクニックです。
「つなぎ売り」を行う場合に気をつけなければならないことは、「逆日歩」の発生です。逆日歩は、株不足になった場合に信用売りをしている売り方が支払う品貸し料のことで、逆日歩は株不足が解消されるまで毎日支払わなければなりません。逆日歩は、休日や祝日も計算に入りますので、少額の逆日歩でも長期にわたり逆日歩が発生している場合は、逆日歩の支払いによる損失が大きくなってしまいます。信用買いであれば、逆日歩を受け取ることができますが、現物株では逆日歩を受け取ることができないので、つなぎ売りは逆日歩が発生した場合は、日証金で逆日歩の計算をして現渡しのタイミングを考えなければなりません。
つなぎ売りの活用に関しては、株主優待や配当を受け取るために権利確定日に行うケースや、公募株(第三者割当増資でなく、一般投資家への公募)の場合は、ディスカウントされていますし、売買手数料も無料ですので、つなぎ売りに非常に向いています。公募株の「つなぎ売り」は公募株の価格決定日に「引け不成り」で現物株と同数の空売りを行うことで、リスク無くディスカウント分の利益を手に入れられます。また、他の証券会社に株式を移管する場合にも「つなぎ売り」が有効な手段になります。上場企業との関係で株式を売却できない場合にも、保有株と同数を信用売りすることで上場廃止などのリスクに対応することができます。
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