信用倍率とは
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信用倍率とは、株式投資の信用取引において信用買い「買い方」と信用売りの「売り方」の取り組み状況を表す数値です。信用買残と信用売残が同数であれば信用倍率は1倍となり、信用買残が信用売残の3倍であれば信用倍率は3倍になります。逆に、信用売残が信用買残の2倍あれば信用倍率は0.5倍となります。信用倍率は信用買残を基本として算出される数値であり、信用倍率が100倍であれば信用買残が信用売残の100倍もあることから、信用買いが過熱していると考えられ、信用倍率0.01倍であれば信用売残が信用買残の100倍ですから、信用売りが過熱しています。
信用倍率は、例えるのなら相撲の取り組みのようなもので、信用倍率が拮抗していれば、信用買い方と売り方が「がっぷり組み合い」動かないような状態です。信用倍率1倍の銘柄は動き出すと急に動き出すケースが多く、買い方が勝つのか?売り方が勝つのか?分からりません。信用倍率が100倍という場合は、買い方が圧倒的に多く、信用売りが株価を下げようとしても簡単には下がりません。子供が横綱に挑戦しても「びくとも」しないのと同じで、信用倍率が極端に高い(低い)場合、株価はなかなか動きません。
信用倍率が極端な数字になる場合、企業にとってプラスの株価材料が出たことから買いが殺到、空売りは踏み上げられることから新規に売建る投資家が少ない場合か、上場廃止や業績が著しく悪化する可能性があり、新規の売建てが急増、信用買いが入りにくい場合などの理由がありますから、逆日歩の発生や貸株注意喚起銘柄・貸株申込制限銘柄などの規制があっても株価のトレンドが変わることは滅多にありません。
【信用倍率の変化に仕手筋や投資家は注目しています】
信用倍率は、その企業の将来の株価の動きを予想する材料となることから、信用倍率の急激な変化を投資家は注目しています。株価は企業の将来性や成長性だけでなく、株式の需要関係でも動きます。特に仕手筋や短期筋と呼ばれる投資集団は信用倍率から動きやすい銘柄をピックアップして、現物買いを中心に株式を買い集め、株不足の状態を作り出し、信用売り方に高額の逆日歩を支払うようにさせてから、大量の投資資金を使って株価を急騰させます。株不足から逆日歩、売り方の踏み上げという仕手株の王道パターンで利益を上げるのです。
株価が急騰するには、売り方の買戻し・追証からの強制決済が欠かせません。株価上昇から含み損拡大、追証(追加証拠金)が発生、損切りか強制決済(反対売買)、現物・信用買いに売り方の買戻しで買いが過熱して株価が暴騰するのです。信用倍率が好取組、改善している銘柄は株価が動きやすい状態です。株価材料や成長性もありますが、株式投資は美人投票とも言われ、信用倍率から売買が活発になり、人気化しそうな銘柄(信用買残・信用売残の増減ランキング、信用倍率ランキング)を見つけることができます。
仕手筋が狙う銘柄は、信用倍率が1倍台で信用売残(空売り)が積み上がっており、浮動株が少なく、株不足になり逆日歩(日本証券金融で公表)が発生しやすい銘柄を安値で現物買い中心で買い集め、仕手株化させていきます。過去の仕手戦でも、信用売残の多い銘柄の株を買い集め、株不足に追い込んで、売り方に大量の損切りをさせ大損させています(個人投資家も踏み上げ、振るい落とされます)。信用倍率が1倍台、浮動株が少なく、少額でも逆日歩が発生している銘柄は信用売り方が苦しい状況ですから、仕手株化するか注目しましょう。
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