ナンピン (難平:なんぴん買い)とは
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ナンピン買い(難平:なんぴん)は、保有している株式の株価が下落した場合、保有株の取得株価よりも安値で購入することにより、保有株の平均取得単価を下げることです。ナンピンした取得株価から株価が上昇すれば、保有株の平均取得単価が下がっていますので、ナンピンで取得した株式の利益が含み損の出ている保有株の損失をカバーしてくれます。ナンピンはリスクヘッジでは基本的な投資手法であり、機関投資家や投資ファンドだけでなく、個人投資家も利用している投資テクニックです。インターネット証券では、保有株の平均取得単価が分かりますので、ネット証券を利用する投資家は自然とナンピンという考え方が身についている投資家が多いようです。
株式投資の格言には「下手なナンピン、スカンピン」という言葉があります。ナンピンは、保有株が一時的な株価調整や振るい落とし(狼狽売り)を誘う動きの場合は、平均取得単価を下げて予想通りに株価が上昇すれば大きな利益が得られますが、株価が下落を続けた場合はナンピン分の損失もあり、大きな損失になってしまいす。成功した場合は保有株の増加により大きな利益、失敗した場合は大損失というハイリス・クハイリターンという側面も持っています。十分な投資資金を持って、ナンピンができる投資家であればナンピンは有効な投資手法ですが、信用取引でレバレッジをかけて取引している場合は損失がすぐに拡大してしまうので、投資資金が豊富な投資家向きの投資テクニックとも言えます。
カジノのルーレットで利用されるベッティングシステムにマーチンゲール法という有名なギャンブルのテクニックがあります。2分の1の確立のゲームで負けたら掛け金を倍にしていくというシンプルな手法です。掛け金は、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、64倍、128倍・・・と増加してしまいますが、資金があれば理論的には負けることがありません。ルーレットには、赤でも黒でもない「0」が存在しますので、マーチンゲール法では理論的には勝てないようになっていますが、ナンピンもマーチンゲール法のようなもので、倒産(上場廃止)しない会社であれば、高確率で勝てる投資手法です。
ナンピンは古典的な投資手法であり、江戸時代の相場でも使われていたものですが、現在は金融派生商品(デリバティブ)が多数ありますので、保有している企業のワラント債があれば、ナンピンするのではなく、ワラントのプットオプションを買えば少ない投資資金で空売りと同じ効果があります。割安のワラントの売りを買っておけば、株価が暴落した場合でもワラントに大きな利益が出ていますので、ポートフォリオはプラスになっています。保有株と同数の空売りで「両建て」では損失は拡大しませんが、利益も増えることがありません。オプションのロングストラングルのようなポジションを、株式とワラントで組んでしまう投資戦略もプロの投資家が好む投資手法です。
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