ショートストラドルとは
|
ショートストラドルは、同一の権利行使限月、同一の権利行使価格のコールオプションの売りとプットオプションの売りによって構成されるポジションのスプレッドになります。同一行使価格でのスプレッドですので、アットザマネーに近いオプションの売りをコール、プットの両方で構成する場合は、オプションのプレミアムが非常に高いので投資資金が多く必要とされるスプレッドになります。ショートストラドルは購入した権利行使価格の範囲内で権利行使日を迎えなければならず、ショートストラドルは成功した場合は大きな利益が狙えますが、思惑とき逆に原資産市場が動いてしまった場合は大きな損失が出てしまいます。
ショートストラドルは機関投資家や投資ファンド、ヘッジファンドなどの大量の投資資金を持っている投資家に好まれる投資法です。最近は、証券会社でも比較的少ない証拠金でショートストラドル、ショートストラングルなどの売りで構成されているスプレッドを組ましてくれる証券会社も増えてきています。買いのコールとプットのオプションで構成されているポジションであるロングストラドル、ロングストラングル。売りのコールとプットのオプションで構成されているポジションであるショートストラドル、ショートストラングル。この基本的なポジションを覚えて、相場環境に合わせて、これらのスプレッドを応用的に活用することによって多くの利益を得られるようになります。
ショートストラドルはオプション取引におけるスプレッド戦略の中でも最もポピュラーであり、非常に危険要素のあるスプレッドだと思います。ショートストラドルは相場展開に合わせてリスクヘッジを行わないと大変な損失を出してしまう可能性が高いスプレッドです。ベアリングス銀行を倒産させたニックリーソンなどは阪神淡路大震災の時に日経平均が一定の価格に収まると考えて、売り売りのポジションで一発勝負いたしました。しかし、日経平均は下がり続けて、ショートストラドルのポジションの特徴である損失無限大のスプレッドにより銀行を破綻させてしまいました。ニックリーソンがショートストラドルではなく、ロングストラングルのスプレッドを組んでいたとしたらベアリングス銀行は破綻しなくてすんだはずです。
しかし、通常では8割近くがレンジ相場である日経平均株価だけに、ショートストラドルの方がデーター的には勝ち易いと思いますし、ボラティリティが急騰していたこともショートストラドルのスプレッドを組んだ理由だとは思います。ショートストラドルは原資産が動かない時、ボラティリティが通常より高い時などに仕掛けるスプレッドです。相場が動かなければ大儲けできるというオプション購入時のプレミアムが高いですが、オプションのプレミアムはアットザマネーのオプションですと時間的価値の減少が早いので心配はいりません。ボラティリティが急騰するのはアウトオブザマネーのオプションなので、テロや戦争などの有事が無い限りはボラティリティは急騰しません。オプションのプレミアムが高いものを売るので取れる利益も非常に多いです。
ショートストラドルはヘッジを行う場合、オプション取引を解説している本やDVDなどを見ていると安いアウトオブザマネーのオプションを買ってヘッジをしなさいと書いてあります。しかし、実際はヘッジをかけなければいけない状況になってしまった時はボラティリティが急騰しており、オプションのプレミアムが高くなっています。本やDVD、情報商材などに書いてある必勝法などは理論的には不可能である場合が多いのです。また、市場が混乱状態になりボラティリティが急騰してしまうとショートストラドルのポジションに対する追加証拠金の要求がある場合があります。多くの個人投資家は証拠金維持率の計算などしていないので、翌日の朝一での強制決済という事態になってしまいます。
ショートストラドルはプレミアムの高いコールオプションとプットオプションを売るというポジションですので、投資資金と証拠金が多く必要になりますので、機関投資家やヘッジファンドなどの投資家向きでありますので、個人投資家のオプション取引の初心者・素人の投資家さんにはショートストラドルはお勧めいたしません。証券会社によっては、売り1枚についての証拠金が数100万円ということも多いので、よくショートストラドルを勉強してからショートストラドルのポジションを取ってみてください。
ショートストラドル 【スプレッド戦略】 |
スプレッド戦略名称 |
ショートストラドル |
スプレッド構成 |
コールオプション売り プットオプション売り |
購入するオプション価格 |
コール及びブットともアットザマネーの近く |
購入するオプション限月 |
権利行使日が直前とされる限月 |
売買によるスプレッド最大利益 |
オプションのプレミアムに限定 |
売買によるスプレッド最大損失 |
無限大 |
ショートストラドル戦略 1 |
原資産の動きがなく、今後も動かない可能性が高い |
ショートストラドル戦略 2 |
ボラティリティが高く、急落する可能性が高い |
ショートストラドル戦略 3 |
権利行使日が近づいており、動かないと予想した時 |
ショートストラドル戦略ポイント |
ショートストラドルは勝率が高く、1度でもショートストラドルで簡単に儲けてしまうとオプションは簡単に儲かるものと勘違いしてしまいます。そして、数年に1度訪れる相場の混乱で破産してしまうという可能性のあるスプレッドですので、気を付けて慎重にトレードしてください。 |
|
|
|