誠備グループとは |
誠備グループとは、日本を代表する投資家である加藤暠(かとう あきら)氏が結成した投資グループです。誠備という名前の由来は、中国の山東省を発祥とする宗教団体である「道院」(世界紅卍字会（せかいこうまんじかい))、笹川良一(政界の黒幕)や内田良平(右翼運動家)、安岡正篤(昭和最大の黒幕)などの著名人も世界紅卍字会の会員でした(名前の後は、当時のマスコミが付けたキャッチ)。誠備グループは「誠備投資顧問室」を中心とする投資家集団で、誠備グループが運用していたそう資金は５００億円以上とされており、１０００億円近いお金を運用したと言われています。誠備グループでの数々の仕手戦によって、マスコミから「兜町の風雲児」、大物相場師(仕手筋・投機筋)「Ｋ氏」と称されています。
平和相互銀行創業者である小宮山英蔵と仕掛けた「ヂーゼル機器(ロバート・ボッシュ)」の仕手戦で保有していた株を利益確定できずに、大量の現物株を売り抜けられない状況にあった加藤氏に協力したのが政界・財界に広い人脈のある笹川良一氏でした。笹川氏が仕手戦に介入したことによって、笹川陽平氏名義となった「ヂーゼル機器」の株は同社が買い取ることになりました。この「ヂーゼル機器」の仕手戦に必要な投資資金を個人投資家から集め、出資した投資家の名前を表に出さないためにも設立されたのが誠備投資顧問室の前に設立された「日本橋信用」とされています。参院のドンと呼ばれ、莫大な資金と政界への影響力を持っている玉置和郎とのつながりが日本橋信用の設立のきっかけともされています。
岡三証券から相場師としてのキャリアがスタートした加藤暠氏、黒川木徳証券の歩合外交員から誠備グループのトップとして日本の株式市場で成功を収めました。加藤暠氏は仕手筋というイメージとは違い、誠実で人望があり、政治家や実業家、経営者、医者などの富裕層を中心に数多くの会員が誠備グループに参加していました。誠備グループに証券会社の営業マンに損させられていた投資家が多く参加していたのは「個人投資家主体の市場」を理念に掲げる加藤氏に賛同したからであり、野村證券や日興証券、大和証券、山一証券等の大手証券から誠備グループへと個人投資家が流れ、最盛期の会員数は４０００人超とされています。
誠備グループ躍進のきっかけとなったのが「宮地鉄工所」の仕手戦であり、当時200円台で推移していた宮地鉄工所の株価は、1979年12月から翌年の10月頃にかけて上昇を続け、最高値で2950円という高値を付けました。発行済株式の７割を誠備グループに買い占められ、取締役会に誠備グループからの役員を派遣されて会社乗っ取りに発展しました。安値で株を買い占めて、高値で売り抜けて利益を得るだけではない「誠備グループ」に証券関係者や投資家、マスコミも注目します。宮地鉄工所の他にも、安藤建設や丸善、西華産業、日立精機、三ツ星ベルト、井筒屋、新電元工業、岡本理研ゴム、石井鉄工所なども誠備グループが手がけた銘柄です。
誠備グループが仕手筋本尊として介入しているとされる銘柄は、加藤氏が勤めていた黒川木徳証券のマーク、片仮名のキをマルで囲んだマークであったので「マルキ銘柄」、「誠備銘柄」と呼ばれ、誠備グループが手掛けていた仕手株の株価が暴騰していたことから、誠備グループ介入の噂さがある銘柄が短期的に爆騰などの現象があり、これを利用して「誠備グループ」介入の噂により儲けようとする投資グループや投資顧問業の銘柄を「ハナマルキ」、誠備グループが本当に介入している銘柄を「ホンマルキ」と呼ぶようになります。誠備グループの株式相場での影響力は大きく、証券会社や投資顧問業、アナリストなども誠備グループを無視することができなくなりましたし、誠備グループを真似た投資グループも結成されるようになりました。
【誠備グループが仕手筋本尊介入していた銘柄一覧 Ｋ筋・Ｋ銘柄】
※加藤氏が手掛けた銘柄はＫ氏銘柄、Ｋ銘柄とも呼ばれます。
加藤暠氏は、笹川良一や糸山英太郎、稲川会会長の石井進、大物政治家、大企業の社長などと交流があり、数々の大相場を演出した相場師というだけの存在ではありませんでした。所得税法違反による事件で逮捕されてからも、旧誠備や藤紘、真大倉など金融業者を使って市場には参戦していましたが、誠備グループ時代のような派手な動きはありませんでした。加藤暠氏が再び株式市場に本格的に復帰したのが、阪神淡路大震災が発生した1995年でした。
「新しい風の会」を結成して「新しい風の会新聞」という機関紙を発行、400円台であった兼松日産農林を5000円台まで上昇させ、震災による影響で下落していた日本市場に投資家を呼び戻しました。2003年には「泰山」、2005年に「時々の鐘の音」というサイトを立ち上げるなど相場に参戦していましたが、その後は表立った動きが確認されていませんでしたが、東日本大震災が発生した2011年に「般若の会」を結成して株式市場に戻ってきました(般若の会銘柄一覧)。
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