資本準備金とは
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資本準備金とは、株式会社が株式を発行することにより、投資家から集めた出資金を「資本金」組み入れますが、残りは資本準備金として積み立てられる資金で、会社法により出資金の2分の1を超えない額まで資本準備金(増資)とすることができます。企業は、保有する資産が公示されている資本金を下回った場合、株主に対する利益配当ができなくなります。この場合、会社法で積み立てることが義務づけられている法定準備金から不足金額を補いますが、この法定準備金が「資本準備金」と「利益準備金」になります。繰越欠損金を解消するため減資を行うのでなく、資本準備金を取り崩します。
※貸借対照表(バランスシート)の勘定科目では、純資産の部の仕訳けされます
資本金と資本準備金の比率や額は株式会社によって違いますが、資本金を多くしてしまうと税金が高くなってしまうというデメリットがありますし、資本金に組み入れる金額を少なくして、資本準備金を増やした方が取り崩す手続きが簡素であり、会社の運営がスムーズになるというメリットがあります。資本準備金を取り崩しは、株主総会の決議が必要であり、これは債権者の保護が主な理由です。法定準備金が資本金の4分の1以上となる場合は、資本準備金を資本剰余金に振り替えることが可能となり、余剰金の利用に制限はありません。
会社法 第445条 (資本金の額及び準備金の額) |
①株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
②前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
③前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
④剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
⑤合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。 |
【資本準備金のメリット、意味無く資本金を増やすデメリット】
資本金の多い企業は、投資家から財務体質が強く、投資対象として有望な投資先となりますが、IPOを目指しているわけでもなく、上場企業でもないにもかかわらず、資本金を数億円にしたがる経営者もいますが、資本金が多い企業のメリット・デメリット、資本準備金のメリット・デメリットを理解して会社の資本政策を行う必要があります。
資本金を取り崩す減資は、イメージが悪く株価下落の要因になるので資本準備金を取り崩す |
登録免許税が安くなる (7/1000) |
株主総会決議事項にならない |
株主総会普通決議のみで「債権者保護手続き」が不要 |
外形標準課税を回避できる (資本金1億円以下) |
交際費枠600万円が活用 |
欠損金の繰り戻し還付 |
消費税が安くなる |
資本金1千万円未満の会社は、2会計期間は免税事業者 (消費税法) |
特定同族会社の留保金課税制度の不適用 (資本金一億円以下) |
税務調査の管轄が税務署 (1億円以上は国税局) |
中小企業退職金共済 (資本金一億円以下) |
大会社(資本金要件は資本金5億円以上)は、会計監査人(公認会計士、監査法人)による会計監査を受けなければなりません。 |
資本金が高すぎると株式分割を行った場合、資本金の不足分を資本準備金から組み入れる
※ 「資本金 ≧ 株式額面 × 発行済株式数」(商法) |
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