利益供与とは
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利益供与とは、株主総会で総会屋などの特定の株主に対して金銭や物品などを渡す行為、財産を無償で譲渡、効果が無い長期の業務委託(請負契約)、グループ会社・子会社に実態や実効の無い業務に対価を払い続けることを利益供与と言います。1981年(昭和56年)の商法改正により、総会屋排除を目的として、株主への利益供与が禁止され、1997年(平成9年)の商法改正では、利益供与罪の厳罰化(法定刑の引き上げ、利益要求罪・威迫利益要求罪の新設)
となり、利益供与を行う企業が減少しました。
※株式会社は、株主総会における議決権行使等の権利行使に関して、何人に対しても、財産上の利益供与をすることが禁止されます。(利益供与の禁止)
※株式会社は、利益供与の要求側に対し返還請求(不当利得返還義務)を行うことは可能ですが、実際には返還されることは少なく、利益供与を行った取締役などの関係者、利益供与した額を会社に弁済しなければなりません。利益供与を行った取締役や執行役員、監査役を「無過失責任」、それ以外の関係者を「過失責任」と言います。一般企業だけでなく、公務員も利益供与の対象ですし、出向先の法人で知らずに利益供与をしてしまうケースもあります。
【規制の対象となる利益供与】
○金銭や物品の交付
○債務の免除
○信用や担保の提供
○高級な飲食店での食事
○ゴルフや旅行等の接待
※税務署により利益供与とされる例は多数あります
【利益供与に関する法律(刑事・民事会社法・税法・税務)】
刑事責任
○商法特別背任罪 商法486条1項、有限会社法77条1項
○株主の権利行使に関する利益供与の罪 商法497条
民事責任
○忠実義務違反 商法254条の3
○商法254条3項
○民法643条
○商法266条2項
○294条の2第1項
○商法266条の3第1項
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