【外国株投資で最も注意が必要なカントリーリスク、戦争やテロ、内紛が発生してしまったら・・・】
株式投資にはリスクが付きもので、国内の日本企業の株式を購入しても業績が悪化して債務超過になり倒産してしまったり、破産手続や再生手続、更生手続・事業活動の停止などの経営破綻により株式の価値がゼロになり紙切れとなった例は数多くあります。上場廃止になってしまっては、投資資金が無くなってしまいますから投資対象となる企業の分析は適時開示・IR情報を中心に証券アナリストなどの分析を基にして投資することになりますが、中国株は中国の証券取引所に上場している企業ですから、日本株以上にリスクがある可能性があります。中国の経済成長のスピード(GNP・GDP)、人民元の切り上げ・解放、A株・B株の統合など投資対象として魅力的な中国株のリスクを検証してみましょう。
外国株を買う時に最も注意したいのが「カントリーリスク」です。戦争やテロ、クーデターなどの政治的な問題や革命などが株式市場、企業の株価に与える影響は小さくありません。日本でも政権交代により、民主党が政権与党になったことが株式市場に影響を与えましたが、戦争などが起これば、株取引などしている場合ではありませんし、企業や証券取引所が存在しているのかすら分かりません。中国は中国共産党が圧倒的な力を持っている社会主義国家ですから、ある意味では非常に安定しているとも言えますが、広大な中国大陸、15億人以上の人口を統制することは容易ではありません。中国共産党に対して不満を持っている不満分子による内戦・クーデターには注意が必要です。中国政府は軍事予算を引き上げて中国人民解放軍を強化、最新の軍事兵器や軍事システムを導入しています。隣国には北朝鮮、ロシア、アメリカとも戦える軍事力を持っているとされています。
【中国株は投資家保護措置の適用外、株券が紙くずになり投資資金が消えてしまうことも】
中国株は海外での投資ですので、日本国内における法令に基づく「投資家保護措置」の適用外になってしまいます。中国で大地震や大洪水、天変地異などの予期せぬ事態が発生した場合でも投資家の損失は保護されることはなく、投資家の自己責任になります。外国企業の株を買う場合は、自国の投資家を優先的に保護して、外国人投資家は後回しにされるケースが多くあります。中国株は、中国人しか買えないA株市場と外国人投資家向けのB株市場(上海・深セン)に分かれており、自国の投資家を優先的に守るという姿勢が強く見られます。日本には、金融庁や証券取引等監視委員会が証券取引所での公正な取引を監視していますし、証券取引法や金融商取引法などの法整備もされています。中国も証券取引に関する法律などは整っていますが、どれだけ法律が機能しているのかは分かりません。
【中国は民主主義ではなく、共産党による独裁政権が国家運営を行う社会主義の国です】
中国は中国共産党とその衛星政党以外はなく、一般人が政党を結成することは許されておらず、中国共産党による一党独裁体制の社会主義国家です。日本のような自由な資本主義国とは違うので、日本人には理解しづらい所も多くあり、インターネットの閲覧が中国政府によって規制されているなど、情報統制も行われています。法律は、政府や中国共産党に対しては機能していないので、権力者のやりたい放題という側面もあり、国家政策も中国政府により簡単に変えられてしまうこともあります。外国人が中国でお金を儲ける場合は、関係者に対して賄賂(ワイロ)なども必要になりますし、お金が取れると分かれば税金を引き上げたり、外国人に対する規制強化が行われる可能性もあります。特に、1部の中国人は日本人に対して敵意を持っていますから、日本人投資家が大儲けすることに厳しい見方がされる可能性も、尖閣諸島問題で船員を拘束した時に日本企業の社員を適当な理由を付けて逮捕したこともあります。また、開放政策により資本主義社会へと変わってきていますが、中国政府の方針変更によって共産主義へと戻ってしまう可能性もあります。
【中国企業の粉飾決済・不正な会計処理がアメリカ市場で大きな問題になっています】
日本でも「ライブドア」の粉飾決算問題による上場廃止によって、数多くの個人投資家が被害を受けてしまいました。監査法人が厳しく監査して粉飾決算など難しいとされる日本でもあるのですから、中国企業の多くが粉飾決算をしているか想像できると思います。中国企業の粉飾決算に対して、米国格付け大手のムーディーズは調査レポートを発表、「企業統治の弱さ」、「リスクの高い不透明な事業モデル」、「急成長の事業戦略」、「収益及びキャッシュフローの質」、「監査人及び財務諸表の質の悪さ」の5つの分野から総合的に中国企業を分析、ムーディーズが格付け対象としている61社の中国企業に赤い旗(警告信号、マックス20本の旗)を付け、ムーディーズが会計リスク及び企業統治のリスクがある企業としてリストアップしています。
ニューヨーク証券取引所、NASDAQ(ナスダック)に上場している中国企業の粉飾決済・不正な会計処理が複数発覚していることから、米国上場企業会計監視委員会(PCAOB)と米証券取引委員会(SEC)は中国の中国の財政部及び証券取引監督管理委員会に対して、中国に営業拠点のある監査法人を監督する権利を得ようとしています。アメリカの証券関係者は中国企業への投資を投機的な投資と判断しており、投資家にはリスクの高い投資の烙印を押しています。海外のアナリストや投資家の厳しい評価もあり、中国企業も情報開示(適時開示・IR)や法令遵守(コンプライアンス)を強化しており、国際会計基準も採用して改善の努力をしています。中国企業の情報開示の信頼性が高まれば、外国人投資家も安心して投資をすることができ、更に株価が上昇していくでしょう。
【リスクもありますが、だからこそ安値で中国株が買えるのです】
海外の企業へ投資をするのは怖い、投資資金を凍結されたり、日本への送金がストップされてしまったら・・・。中国政府に適当な理由を付けられて、大事なお金が無くなってしまう様なリスクの可能性も考えられますが、悪い面ばかりでなく、中国政府が中国企業を成長できるように外資系企業の参入を認めず、中国企業に有利な政策を実施しています。中国経済の成長性を考えれば中国株を安値で買えるビックチャンスのはずですが、アメリカや日本の投資家は自国の優良企業ばかりに投資をしています。逆に考えれば、中国株が安く買える理由にもなっており、中国株への投資環境が整備されて安全であるとなれば大量の資金が中国市場へと流れ、中国株が暴騰することになるでしょう。日本株は安全性が高いという理由で買われているだけで、株価の上昇で得られるキャピタルゲインや高配当で得られるインカムゲインは圧倒的に中国企業が日本の上場企業を上回っています。成功や大金を得るにはリスクがあります。ハイリスク・ハイリターンの投資かもしれないですが、少額で投資ができます。中国はあらゆる面で遅れており発展途上ですが、改善できるところが沢山ありますから、経済成長だけでなく、道徳やモラルの向上も株価上昇の要因になるでしょう。
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