TPPとは
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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは、環太平洋に、これまでにない非常に大規模な自由経済圏を構築することを目的とした協定です。 TPP協定に参加する国は、協定に加盟している国家間では、全品目に対する関税を撤廃します。金融、労働基準や労働規制、医療サービス(薬価)、知的財産権などの全ての非関税障壁も撤廃されます。非関税障壁には各国独自の規格・規定があり、ガラパゴスと揶揄される日本も政府が定めた規格を満たしていない外国製品の輸入は制限されており、海外企業の日本参入の障壁になっています。また、ブルネイなどのイスラム教国では、アルコールや豚肉などの輸入が制限されているなど、宗教観や価値観の問題があります。
※TPPは、環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋戦略的経済連携協定、環太平洋パートナーシップ、環太平洋パートナーシップ協定、太平洋間戦略経済連携協定、トランス・パシフィック・パートナーシップなど多数の名称があります。
TPPは、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの4カ国によりスタートしました。当初は規模の小さな加盟国だけでしたが、その後、オーストラリア、アメリカ、ベトナム、ペルーが参加を表明し、カナダ、コロンビア、マレーシアも参加を表明しました。また、メキシコやフィリピン、日本、中国などもTPPへの参加を検討しています。中国がTPPへ参加するかは分かりませんが、アメリカと日本のGDP(国内総生産)を合計した割合がTPP参加国全体のGDPの9割を占めていることから、アメリカと日本のFTA(自由貿易協定)とも言われています。
○参加検討国
日本 台湾 中国 メキシコ フィリピン パプワニューギニア
【TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の歴史】
2006年 シンガポール・チリ・ニュージーランド・ブルネイによる環太平洋戦略的経済連携協定(P4協定) 2010年 アメリカ・オーストラリア・ペルー・ベトナムの4カ国が参加 2010年 マレーシア参加
【TPP24分野】
1.主席交渉官協議 2.市場アクセス(工業) 3.市場アクセス(繊維・衣料品) 4.市場アクセス(農業) 5.原産地規制 6.貿易円滑化 7.SPS 8.TBT 9.貿易救済措置 10.政府調達 11.知的財産権 12.競争政策 13.サービス(クロスボーダー) 14.サービス(電気通信) 15.サービス(一時入国) 16.サービス(金融) 17.サービス(e-commerce) 18.投資 19.環境 20.労働 21.制度的事項 22.紛争解決 23.協力 24.横断的事項特別部会
【TPPのメリット】
日本社会の構造改革が進む(官僚機構など既得権益がなくなる)
日本企業の海外進出のチャンスが広がる
低価格で優良なサービスが増える
高品質・高機能の日本製品の輸出拡大
医療サービスの向上、医薬品のドラックラグがなくなる
医薬品の価格が下がる ジェネリック医薬品の普及拡大
混合診療の解禁(難病患者の治療法方の選択肢が増える)
功序列がなくなり、実力主義になります
電力、ガス、通信などのインフラ系も競争により価格が下がる
GDPは2・4兆〜3・2兆円拡大する(内閣府試算)
野菜や肉、米、小麦などの食料品が安くなる
外食産業は材料費が安くなり、外食産業が成長する
外国人労働者が増えるので、経営者は安い労働力を手に入れられる
【TPPのデメリット】
海外から大量の安い農作物が大量に入ってくるので、農業が大ダメージを受ける
国内の生産工場が海外に生産拠点を移す
郵貯や年金基金が海外に流出してしまう
外国人労働者が増加する
国民健康保険が廃止され、医療格差が生まれ医療難民が出る
格差社会となり、富裕層と低所得者の差が広がる
海外から安い木材が入ってくるので林業が打撃を受ける
漁業権を外資に開放
公共事業の入札に外資系の建設業者が参入
敵対的買収や時価総額の小さい企業がM&Aされる
土地(不動産)を外国人が買い占める
SPS(衛生植物検疫)で遺伝子組み換え食品、狂牛病(BSE)牛肉の輸入制限緩和
ラチェット規定の問題 (中野剛志・京都大学准教授(TPP亡国論))
○ISD条項(国家対投資家の紛争処理)
ISD条項とは、各国が国民の安全、健康、福祉、環境を、自国の基準で決められない「治外法権」規定
【TPP関連ニュース】
○2010年10月、菅直人首相はTPP参加交渉へ、アジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP) の構築を検討 ○農業構造改革推進本部を設置 ○「食と農林漁業の再生推進本部」「食と農林漁業の再生実現会議」を設置 ○「農業産業化支援ワーキンググループ」(経済産業省) ○全国農業協同組合中央会がTPP反対署名を政府に提出 ○野田佳彦首相がAPECに参加し、オバマ大統領らと会談
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