SPCとは |
SPCとは、主に不動産や債権などの金融資産を保有しているものから資産の譲渡を受け、有価証券や債権を発行するような特別の目的のために設立されるペーパーカンパニー会社のことであり、特定目的会社(Special Purpose Company)と訳されます。SPCと同じ機能を持っている任意組合、匿名組合などは、総称してSPV(Special purpose vehicle・特別目的事業体)と呼ばれます。SPCは、タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる無税か著しく税率の低い、バミューダ、イギリス領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、マーシャル諸島、 モナコなどに設立されています。
1998年9月に「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」が施行されSPCの設立が認められることになり、2000年には最低資本金の引き下げを行い、SPCは登録制度から届制度へと変わり、特定目的信託制度の創設等も含まれる「資産流動化に関する法律」の施行へと発展しています。SPCの登録には、資産流動化計画を添付し、SPC業務を開始する届出書を内閣総理大臣宛に所轄の財務局に提出します。SPCは、取締役と監査役を最低1人置くように規定され、社債や借り入れ総額が200億円を超える場合は会計監査人を置く必要があります。
※タックスヘイブンでは、税法が異なりますが、国内では「配当金の損金算入」や「登録免許税」「不動産取得税」の優遇税制処置が受けられます。
【SPCの会計処理】
○貸借対照表
○損益計算書(PL)
○社員資本等変動計算書
○事業報告書
※上記以外にも注記表、書類の附属明細書があります。また、利益の処分又は損失の処理に関する議案、利益処分計算書、損失処理計算書なども作成することもあります。社員総会において、利益処分案を審議され、新規の利益処分案の作成・提出が行われます。 SPCは「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」の規定を満たすものとしての証明が必要であり、これに従った開示も求められます。
監査に関し、会計監査人を設置しているSPCにおいては、公認会計士による監査を受ける必要があり、監査人による監査が適正かどうかの意見をもらう必要があります。社債発行の公募を行う際にも、金融商品取引法によって規定されている会計監査を受ける義務があります。
SPCは、企業が保有している金融資産を担保にして資金調達やノンリコースローン、を行う際に利用されることが多く、SPCに原資産の保有者(オリジネーター)が保有資産を譲渡することよってリスク回避を行い、資産を証券化し債券(売掛債権)や社債を発行して投資家から資金調達を行います(投資家からの回収業務はサービサーが行います)。資産が証券化されたことにより、資産分割が行われ、複数の投資家が小口で投資することが可能になり、保有資産の現金化のスピードが早まります。
SPCは、譲渡・出資元の連結子会社ではないので、譲渡元の企業が経営破綻した場合でも、SPCに売却された資産には債権者の権利が及ぶことはありません。SPCの実態を投資家が完全に把握することが難しく、投資家が不利益を受ける可能性があることから、決算短信にはSPCの保有資産などの財務状況の記載がなされるようになりました。また、SPCは、商法上の会社ではなく、特別な社団法人に区別されてます。
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